№(23)施設・設備・器具・容器による食材汚染

食品と科学 [食品企業の食品危害防止体制シリーズ]
04年 6月号「」ダイジェスト

前号では

手順表通りの加熱調理と中心温度測定。熱蔵と冷蔵。
セルフサービス食品は7℃以下に予冷、陳列食品は10℃以下に厳重管理、もしも13℃を超えたら廃棄。
弁当・惣菜は調理後4時間以内摂食。
などの必要性を3つの食中毒事件の要因分析を通じて解説した。

***************************

今号では
施設・設備・器具・容器が食材を汚染していないか点検する

食材汚染の原因を追究すると、
1 施設・設備・器具容器の使用区分が守られていない。
2 従事者の作業が衛生的でない
3 湯・水や設備・器具・容器の供給が十分でない、材質や構造が衛生的でない。
など、3つの要因が浮かび上がる。

1の「使用区分が守られない」原因は、原材料加工と調理済み食品加工のエリア区分が不明確で、しかも、それぞれのエリア管理者を中心に行なわれるべき“地主管理”が行なわれていない場合である。

エリア管理者(“地主”)は例えば器具・容器を原材料加工室ではブルー色に、調理済み加工室ではオレンジ色にそれぞれ色分けした防水識別票を貼付するか、器具容器直接に色分け識別を行ない、器具容器の専用を守る。
更に、これらすべてを台帳に登録し、補修、補充、廃棄などの管理を行なう

2の「従事者の作業が衛生的でない」原因の多くは、教育や動機付けが不徹底で、しかも衛生標準作業手順(SSOP)による訓練をしていなために、毎日の作業がまちまちで安定せず、定着しないいないためである。

この原因は管理職に教育に対する関心が薄くSSOPを「作らない」か、関心があっても力量が無く「作れない」かのどちらかである。

PRP・SSOPはHACCPの基礎

一般衛生管理プログラム(PP)が実施され、衛生標準作業手順(SSOP)も実際に動いている状態にすることが、HACCPシステムを受け入れる基盤作りである。
この基盤の上に最も重要な工程で、モニタリング管理が可能な工程を重要管理点(CCP)に選定して管理すればHACCPシステムが構築されることになる。

コーネル大学食品科学科ロバートグラバニ教授が「一般衛生管理プログラムやSSOPを実施しないままHACCPを導入するのは、泥沼にビルを建てるようなものである、そこには基礎がない」と警告していることが日本で行なわれたセミナーでも伝えられている。

 SSOPを現場に定着させるには、管理者が、科学的なモニタリングを行ないながら、従事者心理に配慮した教育訓練の積み上げを行い、従事者の意識と行動を改革することが必要である。

現場に「洗浄SSOP(衛生標準作業手順)」を定着させるには

管理職が、従事者一人一人に「なぜそうするのか」を教え、清潔度を眼に見える形で示す、グループ討議などを活用して行動のきっかけを作るといったことをしないと、従事者は、「関心を持たない」「考えない」」行動しない」。
次の号で、2年の年月をかけ、苦労しながら従業者の意識を改革し洗浄SSOPを定着させた事例を紹介する。
(猫西 一也)


****************************
上記ダイジェスト版の詳細をお読みになりたい方は300円(コピー代送料込み)切手を同封し下記へ申し込みください。出版元から本誌の別刷りをお届けします。
出版元:食品と科学社〒101-0054東京都千代田区神田錦町3-6-4-1201
(℡03-3291-2081 FAX03-3233-0478)
* ****************************
リンク 食品安全ネットワークHP http://www.fu-san.jp/ 
                             (猫西 一也)