7ー再建事業を阻む三つの壁―
達成目標日を設定
計画を阻む三つの壁は抱えたまま、薬局薬剤師全員合意のうえで「1994年10月1日をめどに「薬剤管理指導料施設承認を得る」という目標と計画内容を院内公表し協力をお願いしました。
公表することで後には引けない崖っぷちに立つことにしました。
薬剤師の能力開発研修実施
94年2月から毎週水曜日午後3時〜5時には服薬指導実施のための勉強会を行いました。
製薬メーカーの学術部員にも講師をお願いしました。
服薬指導の当事者となった薬剤師からは受け身の姿勢は消え熱のこもった勉強会になりました。
食品企業では洗浄・殺菌剤研修会を
話が前後しますが、病院勤務を終えた後、食品工場の幹部研修を担当しました。意外だったことは、品質管理担当者や現場主任クラスでも洗浄・殺菌の基礎知識がしっかりしていないということでした。
「水洗いだけで汚れが落ちないのはなぜか?」「洗浄剤を使用するとなぜ汚れが落ちやすいのか」「汚れのついたまま熱湯につけることはなぜいけないのか」「食器洗浄機で洗浄する際なぜ予備洗浄が必要なのか」などについて、「表面張力実験」を手始めに基礎教育を行いました。
教育内容の詳細については食品と科学2004年8月号食品企業の食品危害防止体制?管理職が使いこなす4つの技能その八【事例】「洗浄の基礎知識を教える」、同じく2005年2月号と3月号の「食品安全を保障する基礎体制作り(3)SanitationからCleaning and Sanitationへ」で具体的に記載しています。
また、日本食品洗浄剤衛生協会(http://shokusen.jp)
からは、洗浄殺菌関連資料がシリーズで発行されています。具体的なので社内研修資料としてお勧めです。
洗剤・殺菌剤技術者の技能活用
1997年に受講したHACCPセミナーで講師のテキサス農工大学のグリフィン准教授が「食器洗浄機の洗剤・殺菌剤の使用については、洗浄・殺菌剤メーカーの指示を受けなさい。」と専門技術者の活用を強調されていました。
ところで、ある衛生管理セミナーで話をした後の交流会で洗剤・殺菌剤メーカーの技術者の方が「企業訪問をしても、話ができるのは購入担当者止まりで、その先の品質管理担当技術者の方とお話できることは少ない」と話されたのを聞き、食品企業現場の洗浄・殺菌技術への関心の低さを感じ、少しがっかりしました。
経営幹部にお願いしたいのは、洗浄・殺菌剤メーカーの技術者を、単に“出入り業者”として見る感覚を捨て、積極的に講師として迎え、従事者に技能を習得させ現場で活用してほしいと思います。
話を薬局に戻します。
薬剤師の能力開発研修が効果を
研修会を重ねる毎に日々の仕事の面でも効果が表れてきました。
パソコンを活用して日々の在庫管理を行い、在庫を減らす作業から一歩進め、薬卸業者との共同作業で、必要な薬剤を必要な時に購入するシステムも実現しました。
医薬品倉庫が医薬情報管理室に
その結果空いた医薬品倉庫を、パソコン2台、スキャナ1台、プリンタ1台を設置し、3人が同時に作業できる「医薬品情報管理室」に変身させることができました。
次は服薬指導の際薬剤師が携行する患者情報資料と、患者に提示する「お薬説明書」の作成でした。
パソコンは医局の医師が愛用しているマッキントッシュを選び、薬剤の添付書類をスキャナにかけマックリーダーで読み取り、ファイルメーカープロでデータベース化する作業を進めました。
パソコンとは初対面だった薬局長も、一人でデータベース化を行うようになり、高校新卒の助手も技術を習得し戦力となりました。
半年で「気力と戦力は3倍増」を皆で体感しあえるようになりました。(猫西一也)