[給食の衛生管理](7)「食品衛生管理者〈食品安全チームリーダ

前回のあらまし

給食の衛生管理(6)「食品衛生管理者(食品安全チームリーダー)の仕事」 
相互理解の橋渡し役を
「わが社の幹部は、一度事故を起こさないと目を覚まさない」と愚痴交じりの本音を聞くことがある。調理能力を超えた注文取りが食中毒の原因になったホテルのバイキング料理の事例をあげ、社内・社外コミュニケーションの必要性を述べ、(給食・HACCP・食品安全)委員会を大切にし、会議の場を活気に満ちたものにしてほしい。

 *[給食の衛生管理](7)「食品衛生管理者〈食品安全チームリーダー〉の仕事やるべきこと、やってはならないこと」 

やるべきこと

以下の課題を、常に点検し、問題点があれば所定の用紙に記録し、必要な部署や担当者と改善を検討する、もし、問題が施設設備や操業の変更改善に関わる場合は、経営責任者とも協議し、対策を進める。

 点検に当たっては、小さな変化も見逃さない「鋭い観察力」が必要である。
また、改善のために行う関連部署担当者との連絡、協議や担当者の教育訓練では、相手が納得し、目標を共にし、共に努力する職場風土づくりを目指す。

 例えば、問題点が明確に認識できるように、現場写真やデータを揃え、誠実な態度で客観的に説明する。
「何をしているのか!」と大声で叱り付けたい衝動にかられても、自省するだけの心の余裕を持ちたい。
①給水の管理
②構内施設の清潔維持
③ねずみ、害虫の防止
④従事者の保健と安全
⑤建物や設備の新設または変更計画
⑥排水、廃棄物処理
⑦従事者のための施設の管理
⑧原材料、半製品、調理食品の取り扱いや保管状態の衛生監督
⑨施設内の採光、照明、換気、冷暖房の管理
⑩事故発生時の対応と処理([内部]従事者の健康異常【最近、ノロウイルスに感染した患者の嘔吐物の残渣が乾燥、空気中に飛散し感染源となった事例がある】、ケガなど労働安全災害[外部]商品による食中毒発生、顧客からのクレーム
⑪設定された食品安全マネジメントシステム(食品衛生7S、衛生管理マニュアル等)の実施状況、改定状況

【注】アメリカのCDC(Center for Diseases and Prevention)[疾病管理局]は、統計データを基に、食中毒発生の要因として、その63%は「不適切な冷却及び不適切な冷蔵保管温度」によるとしており、次いで、29%は「調理が予定より早すぎ食品の加熱が不十分になったこと」次いで、27%は「不適切な保温温度」と、⑧の原材料、半製品、調理食品の取り扱いや保管状態に関することで占められている。この項の衛生監督は、特に食中毒予防には重要な事項で、重点管理事項である。

☆ ニューヨーク市サニタリアン(衛生官)オグレスビー氏の教え
「まず、倉庫を見なさい、原材料は何か確認し記録しなさい、そしてそれらが、どのように調理加工されていくのか工程を追い、どのように加工されるのか、よく見なさい、工場内のピカピカのタイルやステンレスの機械に幻惑されてはならない。」〔国立公衆衛生院公衆衛生監視学科の講義から、昭和22年〕(猫西 一也)

リンク 食品安全ネットワークHP http://www.fu-san.jp/