[給食の衛生管理](6)

 
相互理解の橋渡し

物騒な愚痴交じりの本音が

 「うちの会社の社長や幹部は、一度大きな食中毒事故を起こし、で大きな損失を被らないかぎり目を覚ましませんわ」「今日の話は、私らが聞くより、社長や部長に聞かせてほしい」食品安全セミナー終了後の交流会で、参加者からよくこんな愚痴混じりの本音を聞くことがある。

調理能力を超えた注文取りが食中毒の原因に
 大阪市内のあるバイキング専門店で食中毒が発生した。原因は、営業部の担当者が熱心なあまり、調理能力をはるかに超える数の団体客を呼びこんでしまったために、加熱不十分な料理が提供されたり、作り置きした料理が蒸し暑い調理場に積み上げられたりと、正常な調理リズムが狂い、食中毒を発生させてしまったことがある。

社内・社外コミュニケーションを
 食品衛生管理者は、食品安全と生産のバランスのとれた衛生的で、働きやすい職場では、食中毒発生のリスクは低下すること、優秀でサービス精神旺盛な従業員が育ち、客も満足し、固定客も増え、企業の繁栄につながることを、経営者をはじめ、全社員、さらには、原材料供給や、料理など製品の運搬、販売などを担当する関連企業の責任者に認識してもらう社内コミュニケーションと社外コミュニケーションに努めることである。
 ISO22000は、食品安全チームリーダーを社長直属のスタッフと位置づけ、経営者の示した食品安全理念を基に、食品安全マネジメントシステムが実行され、維持され、改善されること、そのための、社内外のコミュニケーション実施を要求している。

(給食・HACCP・食品安全)委員会を大切に
 社内コミュニケーションの第一歩は委員会の運営である。
会議前に会議の議題選定、進め方、必要な資料、パワーポイントとプロジェクターの活用、議題提出者との打ち合わせなど事前準備をしっかり行う。
 また、会議運用技術についても自己研修を積み重ね、会議の場を活気に満ちたものにしてほしい。「ファシリテーション」や「HR方式集団討議法」など教材も多い。
(猫西 一也)
リンク 食品安全ネットワークHP http://www.fu-san.jp/