[給食の衛生管理](4)給食(HACCP)委員会の問題点

雪印乳業に学ぼう

 雪印乳業は、「食の安全を保証し、お客様に安心していただける商品の提供」を目標に、雪印乳業品質保証システム(SQS)を柱に、全員参加で目標を達成する活動を、涙ぐましい努力で進めている。

 その動機は、食中毒事件を発生させたことへの厳しい反省であった。雪印乳業以外の食品調理・加工・製造企業は、事件前に、雪印乳業が歩んでいたような道は歩んでいないと断言できるのだろうか。
 事故後の記者会見で「業界最大手としての甘え」などを記者に問われ、当時の雪印乳業の石川社長は「おごりでしょうね」と答えている。

 あの事件から6年が経つ、事件当事者と思いを重ね、改善を進めてきたのか、事件を、第三者として見るだけで、「うちは大丈夫」という“おごり”を持っていなかったか? 自己点検をしてほしい。

給食の衛生管理(4)「給食安全委員会(HACCP委員会)」の問題点 

食品衛生管理者・品質保証責任者などが事務局を担当する「委員会」は機能しているだろうか。
「プロジェクトチーム」とは「混成チーム」の別名とも言える。
この種の委員会は、通常プロジェクトチームの形をとり、品質管理、製造、営業、施設管理、商品開発、購買、総務などの責任者か担当者で構成され、事務局を品質管理室が担当することが多い、プロジェクトチームという名前はカッコいいが、各部署に席を置くスタッフによる混成チームなのだ。

 だから、会議も運営も難しい。経営者が、最初から委員会の準備、運営すべてを事務局任せにしたままだと、次のような現象が現れる。

1. 委員は、出身部署の利益代表の意識が強く、意見要望を出すだけの委員が多い、しかも、問題解決に繋がる重要な内容になると利害が絡む、「部署に帰って次回に回答します」という形式的会議となり、前に進まない。(これで悩んでいる企業は意外と多い。)
2. 品質管理、製造、商品開発部門の担当者は自らのこととして議論するのだが、他の部門の委員はオブサーバーやゲストの意識が強く、所属部署への報告要員に成り果てる、当然プロジェクトチームの機能は失われる。
3. 事務局のコミュニケーション努力でプロジェクトチームとしての討議も行われ、結論を出すところまで到達しても、その段階で終わり、出発点にはならない。
   例えば、定期的に衛生自己点検を行うことが合意され、点検表作成も実現し、検査担当者の選出を行い、実際に現場点検が行われても、点検表が報告記録として担当役員や経営者が印を押した段階が終点になる。
  定期的に衛生自己点検を行うことが目的になり、現場の状況は点検実施前と変わらない。
 なぜ、このような現象が起きるのか、次回の日記で考えてみたい。(猫西 一也)