[食品と科学]衛生管理と利益の追求47品質管理は利益の確保 

「衛生管理と利益の追求47品質管理は利益の確保11
食品と科学05年12月号45頁、加藤勇治(フーズテクノかとう有限会社・食品製造コンサルタント
を読んだ、共感することが多い、要旨を紹介する。

 *1.データを見る・読む 
製造現場から上がってくる作業日報などのデータを集計して統計学的に問題を見つけているか?と問題提起している。
 *2.棚卸と言うデータの意味?
棚卸は、原価計算に必要な原材料使用金額の把握と、資産金額の把握をする二つの目的がある、この過程で一番大きな問題は不良棚卸金額の把握である。
*3.棚卸金額はそのままで良いのか?
 棚卸の中に使用する予定の無いものは削除することが必要である、さもないと、資産は持つが金が無い状態になる。
*4.キャツシュフローの悪い会社
 経理決算書では黒字でありながら現金が無いという状態の原因の一つは不良在庫の放置である。
*5.棚卸表に良くある問題  
 1アイテム毎の単価を比較分析しておかないと、単価上場で、得られるはずの荒利が得られないことがある。
 5.棚卸表にある問題
 自分の成績を上げようと棚卸金額を水増しする担当者もいることを認識すべきである。経営者、管理者はもっとデータを見、よく分析すべきである、さもないと利益は出てこない。

*提言に私も共感!

会社の経理状態が”火の車”になると、経営者や管理者は、金策に奔走することになる。この結果社内管理のへの集中力を失い、食品安全の問題に適切に対応する能力も失う、その結果事故とクレームが続出し、破綻の道を滑り降りることになる。

 品質管理も、出発点はまず、利益を確保すること、そのためには、平生の日報や棚卸データを軽視してはならないと加藤氏は警告している。

病院再建と活性化の出発点は薬剤の在庫管理
 私もある経営不振病院の再生をを依頼され5年で活性化を達成し、「地域2番病院です」と薬問屋のプロパーたちから評価されることになったことがある。

その際も、まず最初に実施したのが、看護師まかせだった病棟における薬剤管理を薬局の薬剤師が直接管理したことだった。

 きちんと棚卸をすると、医師の意向で注文したもののその後使われていない不良在庫が、病棟毎に百万単位で発見された。
 この不良在庫金額だけの純利益を、得るためにどれだけ医師や看護師が働かねばななないかを、数字で示した。効果はてきめんであった。

 毎週行なわれる医局会議で、安易に新製品の発注をしない、効能が類似する薬剤は、最も良いものに限定する、注文した医師は責任をもって在庫を使い切る、使用期限が充分あるものは返品して換金するなどの処理をした。
 これだけで、かなりの経営改善効果を上げることができた。
食品工場でも、これと似た状況が無いとは言えないように思う。

ある食品工場の棚卸で、手洗い用の液体石鹸の使用量が異常に多いことを発見し、調べてみたら、従業員が、作業衣の洗濯に手洗い用洗剤を流用していた。是正したら翌月から使用量が正常化したと言う事例がある。

食品衛生管理者も量的観察を 食品衛生管理者も日常使用する洗浄剤や殺菌剤の量的管理にも眼を向けて欲しい。(猫西一也)